
現在、東大病院の眼科には、角膜、網膜・硝子体、緑内障、ぶどう膜、神経、斜視弱視、腫瘍など、眼科のあらゆる領域のスペシャリストが多数おり、眼科すべての領域で高いレベルの診療を実践していると自負しています。今後も現在の診療レベルにとどまることなく、世界的にみて第一線の診療レベルを実践するために、角膜再生医療を始めとした先端的な診療に積極的に取り組んで行きたいと考えています。
東大眼科を受診する患者数は大変多く、外来受診数は年間のべ約80000人、初診患者数年間約4000人、入院患者数年間のべ約2000人、手術件数年間約2000件です。数ある眼科の中から東大眼科を選んでいただき、多くの方に受診していただいている現状は我々にとって大変ありがたいことですが、その反面、眼科外来が混雑し、診療の待ち時間が長くなっています。病状の落ち着いた方を紹介元で診療してもらう事、医師が診療に集中できる様なサポート体制を作る事などにより、診療レベルを高く保ちつつ、診療の待ち時間を短縮し、東大眼科を気持ちよく受診してもらえるようにしたいと考えております。そして、きめ細やかな病診連携、病病連携を推進して、初診患者数や手術数を更に増やしていきたいと考えています。
自分の現在の研究は角膜再生医療に関する研究をメインとしています。眼表面の再生医療はすでに臨床で実践していますが、角膜実質および内皮の再生医療は、いまだ世界のどこにおいても臨床で実践されておりません。培養角膜内皮細胞移植、角膜実質再生を実現することが、私の抱負の一つです。また、他科、基礎系、工学系の先生方との共同研究に積極的に取り組み、トランスレーショナルリサーチを更に強力に推進したいと考えています。そして、臨床に直結する課題のみならず、時間がかかっても最終的には臨床に還元できる基礎的な課題にも取り組んでいきたいと考えています。教育面では、優秀な後継者を教育し育成する事がその科にとっての最重要課題と考えています。時間を割いて質の高い教育を行う教室員を高く評価する事で教育の重要性を教室員に認識してもらうようにしていきたいと思います。教室運営では、教室員のリクルートが教室発展のための重要な課題と考えて取り組んで行きたいと思います。そして、多くの関連病院の先生方、同窓生、他科の先生方と協力して、眼科学教室が発展できるよう、微力ではありますが、全力で頑張っていきたいと考えています。
この文章を読んでくれている学生や研修医の方々へのメッセージとしては、今、自分の学生時代を振り返ると、時間のある学生時代にもっと色々な経験をしておけばよかったと思っています。多くの時間を費やしたクラブ活動や仲間たちと過ごした学生時代は楽しく、いい思い出が多いですが、たとえば、英語しか喋れない環境に長期間自分を置くとか、世界を貧乏旅行するとか、そんな事もやっておけばよかったと思います。大学での勉強や研究はもちろん大切ですが、大学を飛び出したそんな時間も大切にしてほしいと思います。最近は海外に留学する若い人がかなり減っているとよく聞きます。国内で高いレベルの研究ができるからわざわざ海外にいかなくても良いのではという意見も聞きますが、やはり国際的に活躍する事を目指して海外に飛び出して行ってほしいと思います。




